犬と人、同じ“家族”として暮らしているけれど、その皮膚のつくりは根本的に違います。
この違いこそが、犬のスキンケアにおいて洗浄剤選びが重要になる理由です。
1. 人間の約1/3。犬の皮膚は極めて薄いバリア
犬の皮膚は、人間の約1/3ほどの薄さしかありません。この表皮の薄さが、犬の皮膚が「デリケートで刺激を受けやすい」と言われる最大の理由です。
皮膚の最も外側にあるバリア機能(角質層)が薄い分、外部からの刺激、アレルゲン、そしてシャンプーなどの化学物質が内部に侵入しやすい構造になっています。
2. 「流す力」がない!犬の汗腺と残留リスク
さらに、犬の皮膚のつくりで人間と決定的に違うのが、汗腺の機能です。
人間は全身に「エクリン腺」を持ち、サラサラとした汗をかくことで、皮膚に残った洗浄成分や老廃物を洗い流す「自浄作用」があります。
しかし、犬のエクリン腺は肉球の一部にしかないため、全身から汗で老廃物を流すことができません。犬の全身にあるのは「アポクリン腺」で、これは体温調節ではなく、匂い(フェロモン)を分泌する役割が主であり、皮膚に残った成分を流し去る力は極めて弱いのです。
この「流せない皮膚」が、犬が抱える最大のリスクとなります。
3. 皮膚に”残る”合成界面活性剤の危険性
合成界面活性剤の多くは、洗浄力が強く、泡立ちが良い反面、皮膚に「残ろうとする」性質があります。
汗で流せる人間であればまだしも、「流す力」がない犬の皮膚では、残留した洗浄成分が以下のリスクを引き起こします。
慢性的な炎症: 成分がずっと皮膚に貼りついた状態が続くことで、乾燥、赤み、かゆみ、そして膿皮症などの皮膚トラブルを引き起こす引き金になることがあります。
バリア機能の破壊: 残留成分が、デリケートな皮膚のバリア機能をじわじわと壊し続けます。
4. 洗う、というより、「守る」ために。小多福堂の石鹸哲学
だからこそ、小多福堂は「ちゃんと落ちる石けん」にこだわります。
石鹸(純石けん)は、汚れを包み込んだ後、水やお湯ですすぐと界面活性剤としての性質を失い、完全に流れ去るというシンプルな特長を持っています。
- 残らない。
- 貼りつかない。
- やさしく洗って、お湯とともに去っていく。
それが、皮膚のバリア機能が弱く、自浄作用が低い犬の皮膚にとっていちばんやさしい洗浄のかたちだと信じています。
犬は自分で洗うものを選べません。だからこそ、私たちが選ぶ洗浄剤一つで、その子の皮膚の健康が守られることもあれば、壊されてしまうこともあります。
洗う、というより「守る」ために、小多福堂はやさしい石鹸をつくり続けています。



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