🕊 はじめに:犬の目のサインを見逃さない
犬は、目の不調を言葉で伝えることができません。
だからこそ、日々の中で感じる「いつもと違う」小さな変化が、大切なサインになることがあります。
目を細める、光を避ける、涙が多くなる――
その仕草のひとつひとつには、「少し痛い」「まぶしい」「見えにくい」など、
犬なりのメッセージが隠れています。
1.よく見られる目の病気と、そのサイン
犬に多い目のトラブルには、緑内障・白内障・角膜炎・結膜炎などがあります。
| 病気 | 主な症状とサイン | 
| 緑内障 | 眼圧が高くなり、痛みを伴うことが多い。目を細める、光を避ける、涙が増えるなどのサイン。 | 
| 白内障 | 目の中が白く濁る。高齢犬や遺伝的な要因で進行することが多い。 | 
| 角膜炎・結膜炎 | 目の充血(赤み)、まばたきの増加、目をこする仕草が見られる。 | 
こうした症状は、初期なら治療やケアで進行を遅らせられることがあります。
「少しおかしいな」と思ったときに、迷わず動物病院へ行くことが大切です。
2. 家で気づけるチェックポイント
早期発見のために、日頃から以下の点をチェックしてみましょう。
- 目の左右差(白さ・赤み・腫れ・開き方)
 - 光への反応(まぶしがる・避ける)
 - ぶつかることが増えた
 - 涙や目やにの量・色の変化
 - 目をこすったり、しきりに顔を触る
 
ほんの少しの違和感でも、続くようなら受診を。
「早く気づいてあげられた」ことが、その子の痛みを減らすことにつながります。
3. 緑内障について:リスク犬種と家族の責任
緑内障は、眼圧が高くなることで視神経が傷つき、視力を失う病気です。
- 要注意犬種: 柴犬・シーズー・チワワ・コッカースパニエルなどは遺伝的に起こりやすいことが知られています。
 - 家族に迎える時: ブリーダーや保護団体に家系や親犬の目の病歴を確認することも、その子を守る第一歩になります。
 
もし発症しても、点眼や手術など早期の対応で痛みを減らせることがあります。
「完治」よりも、「痛みの少ない時間を増やす」ことを大切にしましょう。
4. 飼い主としてできること:悲しむより導くこと
病気がわかったとき、心が沈むのは自然なことです。けれど、いちばん必要なのは「悲しむこと」ではなく、その子にとっていちばん穏やかな生き方を選ぶことです。
治療を続ける、手術を受ける、薬で痛みを抑える――どれも「正しい」選択です。
大切なのは、「この子がいちばん安心できる時間をどうつくるか」。
それを、飼い主がそっと導いてあげること。どうかご自身を責めないでくださいね。
5. 目のケアと暮らしの工夫
目の病気を抱える子には、日常の工夫でストレスを減らせます。
- 定期的な眼科検診を受ける
 - 点眼薬はごほうびとセットで「いやな時間」にしない
 - 照明は柔らかく、家具の配置を変えない
 - 散歩は声かけを多めにして安心を
 - 顔まわりを洗うときは、濡らさずに拭くケアを(目まわりと口まわりは、石けんを含まない清潔なぬるま湯で洗ったガーゼなどでやさしく拭き取ってください。)
 
💛 おわりに
見える世界が少し変わっても、
犬たちは、においで、音で、足裏の感覚で、世界をちゃんと感じています。
そして何より、飼い主の声や足音、暮らしのリズムが、
その子にとっての“道しるべ”になります。
泣く日があっても大丈夫。
その涙のあとで、「いまこの子にしてあげられること」をひとつ選べば、
それがもう、いちばんの支えになっています。

  
  
  
  

コメント