「お風呂に入るよ」と声をかけた瞬間、
スッと姿を消すうちの子。
それはただの“気まぐれ”ではなく、
犬にとってシャンプーがちょっと苦手な時間になっているサインかもしれません。
小多福堂では、そんな子たちにも“気持ちよく清潔を保てる方法”として、
「拭き湯(ふきゆ)」というケアを大切にしています。
🫧 犬がシャンプーを苦手に感じる理由
犬にとって、シャンプーは人が思う以上に刺激の多い行為です。
- 水や泡の音が怖い
犬の聴覚は人の約4倍も敏感。シャワーの音や浴室の反響が強い刺激になります。 - 体を押さえられる不安
洗う間はどうしても動きを制限されるため、特に過去に嫌な経験がある子は恐怖を思い出してしまいます。 - 皮膚への違和感
強い洗浄力のシャンプーで皮脂を落としすぎると、肌がつっぱったり、かゆみを感じることがあります。
その不快感を「洗う=イヤなこと」と覚えてしまうのです。 
清潔を保つつもりが、知らず知らず“信頼を削る時間”になってしまうことも。
🌿 そこで、「拭き湯」というやさしい方法を
拭き湯とは、石けんを少し溶かしたぬるま湯でガーゼを湿らせ、
やさしく体を拭いて清潔にする方法です。
泡立てたり、すすいだりする必要がないので、
体力の落ちた高齢犬や、シャンプーが苦手な子にも負担が少なく行えます。
香りや刺激の少ない石けんを溶かして使うことで、
皮膚を傷めず、必要な皮脂を残したまま汚れを落とせます。
💧 “洗う”から“ふれる”へ
拭き湯の時間は、ただ汚れを取るだけではありません。
やさしく拭く手のぬくもりは、犬にとって安心の合図。
「大丈夫だよ」
というメッセージを、手のひらで伝える時間です。
皮膚の状態を観察したり、
体の変化(かさつき・赤み・しこりなど)を早めに気づくきっかけにもなります。
洗うことがコミュニケーションの時間に変わる。
それが、拭き湯のいちばんの魅力です。
☁️ 拭き湯に向いている子
- シャンプーや水を怖がる子
 - 高齢犬・介助が必要な子
 - 冬場など乾燥しやすい季節
 - 肌トラブルや治療中で洗浄を控えたい時
 
小さな変化を見逃さないためにも、
無理に“洗う日”をつくるより、“ふれる日”を重ねることが大切です。
🌸 小多福堂の考える「やさしい清潔」
小多福堂では、どんなケアもその子の心に寄り添うことをいちばんに考えています。
だから、石けんづくりでも「汚れを落とす力」よりも
「皮膚を守りながら整える力」を優先してきました。
泡で洗う日も、拭き湯の日も。
どちらも“清潔”であり、“やさしさ”であることに変わりはありません。
🪶 参考文献・出典
- しま動物病院「犬・猫のスキンケア — 皮膚」
https://www.shima-ah.jp/skin/ - Santoro D. Update on the skin barrier, cutaneous microbiome and host defence peptides in canine atopic dermatitis. Veterinary Dermatology, 2024.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/vde.13215 - Marsella R. et al. Topical treatment with sphingolipids and glycosaminoglycans for canine atopic dermatitis. BMC Veterinary Research, 2020.
https://bmcvetres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12917-020-02306-6 

  
  
  
  

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