「犬が大好きな運動」といえば、ボール遊びや走ることを思い浮かべる方が多いかもしれません。
実際に、走ることは筋肉や心肺を使う大切な運動であり、発散やリフレッシュにもつながります。
一方で、犬にはもうひとつ大切な「運動」があります。
それが、嗅ぐ・探す・考えること。
ボール遊びは「体を動かす運動」、
ノーズワークは「心を満たす運動」。
役割の違うふたつを組み合わせることで、犬はより深く満足し、落ち着きやすくなります。
この記事では、走るだけでは満たされない理由と、ノーズワークの効果についてお話しします。
犬の運動が足りないと感じる理由
「犬の運動が足りないのでは?」と感じるとき、
多くの方が思い浮かべるのはボール投げや走らせる遊びです。
確かに走ることは大切な運動です。
しかし、ボール投げは“興奮を高める遊び”でもあります。
ボールを追いかけると、犬の体内ではアドレナリンが分泌されやすくなります。
そのため、体は疲れていても、神経は高ぶったままになりやすいのです。
これは興奮によって分泌されたホルモンが引き際を失っている状態かもしれません。
また、ボール遊びのような激しい興奮は、アドレナリンだけでなくコルチゾール値が上昇する傾向があり、これが体内に残ることで「寝つきが悪くなる」「些細なことで吠えやすくなる」原因になります。
「ボール投げをしても疲れない」
「運動量が多いはずなのに落ち着かない」
そんな状態は、体力不足というよりも“興奮の持続”が原因かもしれません。

犬は“嗅覚の動物”
犬は視覚よりも嗅覚を使って世界を理解しています。
実際に、犬の脳は人間の脳に比べて、嗅覚を処理する部分の割合が格段に大きく、
匂いを探すことは、犬にとって本能的な行動であり、
いわば「情報収集」であり「仕事」です。
実際に、犬の脳の中で嗅覚を処理する領域は、人間に比べて数十倍も発達していると言われています。
散歩中に立ち止まって匂いを嗅ぐのは、
ただの気まぐれではありません。
それは、犬が世界を読んでいる時間なのです。
ノーズワークの効果とは?
ノーズワークは、犬が匂いを使って探す遊びです。
この遊びの特徴は、「静かに疲れる」こと。
走り回るわけではありませんが、
集中し、考え、成功体験を積むことで、深い満足感を得ます。
ノーズワークには、
- ストレス発散
- 興奮のコントロール
- 問題行動の予防
- 自信の向上
といった効果が期待できます。
「犬を楽しく上手に疲れさせる方法」を探している方には、
走らせるだけでなく、嗅ぐ時間を取り入れることをおすすめします。
忙しくてもできるノーズワーク
特別な道具がなくても大丈夫です。
- タオルに包む
- 紙コップに隠す
- 知育トイを使う
- フードの一部を“探すごはん”にする
完璧に隠さなくてもかまいません。
探す過程そのものが、犬にとっての運動になります。
ノーズワークの目的は、ただ疲れさせることではありません。
犬が自分で選び、考え、解決する経験を重ねることで、落ち着きや自信が育ちます。
K9ノーズワーク®の共同創設者ジル・マリー・オブライエンは、
「人間の介入を最小限に抑え、犬が自主的に問題を解決することで、自信は本当に高まる」
と述べています。(Scent Games for Canine Enrichment:https://www.aspcapro.org/resource/scent-games-canine-enrichment)
手順書も配布されていますので、ご興味のある方はこちら
https://www.aspcapro.org/resource/scent-games-canine-enrichment
まとめ
犬のケアは「清潔にすること」だけではありません。
満足できる時間を持てることも、大切な心の養生のひとつです。
たくさん走らせてあげられない日があっても大丈夫。
ボール投げが思うようにできない日があっても大丈夫。
短い時間でも、
嗅ぐ・探す・考えるひとときを持てれば、
犬はちゃんと満たされます。
走ることだけが運動ではありません。
嗅ぐ・探す・考えることも、犬にとっては大切な“運動”なのです。


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