―小多福堂の石鹸と、犬の皮膚のはなし。
「犬の肌に合わせて、pHは調整していますか?」
小多福堂によせられた、あるご質問。
今日は、「犬の皮膚と石鹸のこと」を通してお話させてください。
そこから、犬のスキンケアの基本と、私たち小多福堂のこだわりについてご紹介します。
1. 犬の皮膚は、とても薄くてデリケート。
犬の皮膚の構造は、人間と比べて非常に繊細です。この違いを知ることが、適切なスキンケアの第一歩です。
圧倒的な薄さ。外部刺激に弱いバリア
人の表皮の厚さが約100〜200μm(マイクロメートル)あります。
しかし、犬の表皮は、わずか25〜38μmほどしかありません。これは人の約1/3〜1/5の薄さです。
また、皮膚のバリア機能に重要なターンオーバー(細胞の入れ替わり)の周期も短いです。人は約28日間ですが、犬は約3週間(21日程度)と短くなっています。
皮膚が薄く、バリア機能が変化しやすい構造です。そのため、外からの刺激(乾燥、花粉、洗浄成分など)を受けやすくなっています。
皮膚のpHが「中性~弱アルカリ性」であることのリスク
実は、pH(ペーハー)は、皮膚のバリア機能と密接に関わっています。
- 人間の皮膚: 弱酸性(pH4.5〜6.0)
- 犬の皮膚: 中性~弱アルカリ性(pH6.2〜7.8が理想)
犬の皮膚はもともと中性から弱アルカリ性ですが、そのバランスが崩れてさらにアルカリ側に傾くと、細菌などが繁殖しやすくなることがあります。
皮膚表面の常在菌である黄色ブドウ球菌などが繁殖しやすい環境になることを意味します。
実際、これが犬が人間よりも皮膚炎(膿皮症など)を起こしやすい一つの要因です。
そのため、人用のシャンプーや、洗浄力の強すぎる洗浄剤で洗うことは避けたほうが安心です。
なぜなら、犬の皮膚のpHバランスが大きく崩れるからです。
それはデリケートな皮膚バリアを傷つけ
結果として、細菌増殖のリスクを高めてしまう可能性があるのです。
2. 小多福堂の石鹸と犬の皮膚
石鹸は油脂とアルカリを反応させて作るため、性質としてアルカリ性になります。
そのため、小多福堂では
pHそのものを無理に下げる設計ではなく、洗浄の強さをコントロールする設計を大切にしています。
具体的には
- 洗浄力が強くなりすぎる油脂の配合を抑える
- 皮膚の乾燥を防ぐ天然グリセリンを残す製法
- 油脂を少量残す設計(スーパーファット)
など、犬の薄い角質層に負担をかけすぎない処方を採用しています。
pH調整だけではない、低刺激への徹底
石鹸の刺激は、pHだけで決まるわけではありません。皮膚科学では
脂肪酸組成・濃度・接触時間
が重要とされています。
小多福堂ではこれらの要素を考慮し、犬の皮膚にとって過剰な脱脂が起きにくい石鹸設計を行っています。
3. シャンプー後の「乾燥」が最も大切
どんなに良い石鹸で洗っても、シャンプー後のケアは重要です。なぜなら、それを間違えると皮膚トラブルにつながるからです。
被毛と皮膚を根元から「完全に」乾かす
シャンプー後は、ぬるま湯で石鹸をしっかり流しましょう。
タオルで水分を拭き取った後も大切です。その上で、必ずドライヤーで被毛と皮膚を根元からしっかりと乾かしましょう。
皮膚が濡れたまま、あるいは生乾きの状態が続くと問題です。
なぜなら、アルカリ性に傾いた皮膚がもとに戻るのを妨げるからです。結果として、細菌や真菌(マラセチアなど)が異常増殖し、皮膚トラブルの原因になります。
ドライヤーの「熱さ」に注意
人間より皮膚が薄い犬にとって、熱すぎる風は禁物です。
なぜなら、大きな皮膚への負担や火傷(やけど)のリスクになるからです。
ドライヤーは近づけすぎず、常に動かしながら、冷風または低温設定で乾かしてあげましょう。
拭き湯のすすめ
もしシャンプーが苦手な子や体力の落ちた子には、「拭き湯」方式もおすすめです。
これは石鹸をお湯に溶かし、タオルで拭いてあげる方法です。
物理的な負担が少ないため、皮膚への刺激をさらに軽減できます。
その場合も、最後にドライヤーでしっかり乾かしてあげてくださいね。
| 比較項目 | 人 | 犬 |
| 表皮の厚さ | 約100〜200μm | 約25〜38μm(人の1/3~1/5) |
| 皮膚のpH | 弱酸性(pH4.5~6.0) | 中性~弱アルカリ性(pH6.2~7.8) |
| キューティクル層 | 3〜4層 | 1〜2層 |
| 毛の本数 | 約10万本 | 約30万本 ※ |
| ターンオーバー | 約28日間 | 約21日間 |
小さな違いのようで、犬にとっては「心地よく暮らすためにとても大きなこと」なんです。
ご質問をいただき、ありがとうございます。
私はその方がどれだけ犬を大切に思われているかが分かり、とても幸せな気持ちになりました。




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