―七十二候・山茶始開(つばきはじめてひらく)―
✨冬の愛犬の冷え対策とスキンシップ:手のぬくもりで心をほぐす
立冬(2025年は11月7日)を過ぎ、七十二候では「山茶始開(つばきはじめてひらく)」のころ。
冷えた空気の中で、犬の吐く息が白くのぼりはじめます。
ですが、そんなときでも、散歩のあとに手のひらで撫でる“ぬくもり”が、
体の冷えだけでなく、心のこわばりまでもほどいてくれるのを感じます。
🐾愛犬の冬の養生:「気・血・津液」の巡りを整えるなで湯の力
東洋医学では、体の中を「気(き)」「血(けつ)」「津液(しんえき)」がめぐると考えます。
そして、この流れが滞ると、冷えや乾燥、こわばりといった不調が生まれます。
そこで、「なで湯」のようなやさしい拭き洗いは、
皮膚を刺激しすぎずに、気と血のめぐりをゆるやかに整える養生の一つになります。
具体的に言えば、石けんの香りや手の温度が、犬の体に“安心”のサインを送ります。
すなわち、あたためる、潤す、ゆるめる――これが、
冬の犬の養生における三つの柱です。
❤️科学が証明:犬と人が「触れる」ことで分泌されるオキシトシンの効果
さらに言えば、科学の視点でも、触れ合いは心の栄養になります。
なぜなら、犬を撫でることで、犬にも人にもオキシトシン(“絆ホルモン”とも呼ばれます)が分泌され、安心感や幸福感が高まるといわれています。
また、このホルモンは、血圧や心拍を落ち着かせ、
ストレスホルモンのコルチゾールを減らす作用もあります。
つまり、手のぬくもりは、心のめぐりを整える“薬”でもあるのです。
したがって、東洋医学が言う「気血の巡り」は、
いまの科学でいえば「オキシトシンの循環」と言えるのかもしれません。
🛀愛犬の冬のケア:「洗う」から「触れる」へ。絆を深める養生の時間
寒い季節は、自然と犬と人との距離が近くなります。
毛布の中、ストーブの前、湯気のたつ洗面所。
例えば、お湯を用意して、そっと拭いてあげる時間もそうです。
このように、そのすべてが、絆を深める“養生の時間”となります。
だからこそ、「洗う」ことよりも、「触れる」ことを目的にしてみると、毎日のケアが少しやわらかく、温かいものに変わります。
✨ 実践編:「なで湯」の基本と愛犬のための温度管理
「拭き湯(なで湯)」は、全身シャンプー代わりだけでなく、散歩後の手足と心のケアとして、毎日のルーティンに簡単に取り入れられます。
用意するもの
- ぬるま湯:約200〜300mL
- 石けん:約1g〜2g(小指の先ほど)
- やわらかいガーゼや布
- 清潔なお湯(仕上げ拭き用)
手順:たった1分でOK
- 【石けん水を準備】 ぬるま湯に石けんをごく少量溶かし、温かい石けん水を作ります。
- 【足先をひと拭き】 石けん水を含んだガーゼを絞り、冷えやすい足先(肉球や指の間)をサッと拭き取ります。
- 【背中を優しく撫でる】 そのガーゼのぬくもりを使い、背中や腰を優しくひと撫でします。
- 【乾拭きして終了】 乾いたタオルで水気を拭き取り、冷やさないように軽く包んで完了です。
❤️ 究極のポイント:触れる時間
- 必要なのは1分間。 その間に「温めて、触れて、安心させる」という目的を達成できます。
- 力を入れずに優しく撫でるタッチこそが、犬と人にオキシトシンを届ける最も大切な要素です。
小多福堂の犬用石けんが大切にしていること
小多福堂の犬用石けんづくりの根っこには、
「犬と人が触れ合う時間を増やす」という想いがあります。
そのために、東洋の知恵と植物のちからを借りて、“手のぬくもり”を介して伝わる安心を大切にしています。
言い換えれば、それは、皮膚を洗う道具ではなく、心を撫でるための石けんでもあるのです。
終わりに
冬の朝、犬の背を撫でながら思うのです。
体を温めているのか、心を温めてもらっているのか。
その境目は、もうわからない。
それゆえに、今日もそっと手を伸ばします。
“温めて、潤して、触れる”――
それが、冬の小さな養生のかたちです。



コメント