犬用石けんの設計|脂肪酸バランスの考え方

犬用石けんの設計。脂肪酸バランスの考え方 小多福堂のこと

犬用石鹸の話になると、「やさしい石鹸」「天然の石鹸」という言葉をよく見かけます。もちろん、原料は大切です。しかし、石鹸の性質に大きく影響するのは、油そのものというより脂肪酸のバランスです。
石鹸は、油脂がアルカリと反応してできる「脂肪酸ナトリウム」という物質です。
つまり、どの油を使うかよりもどんな脂肪酸の組み合わせになるかによって

・泡立ち
・洗浄力
・すすぎやすさ
・皮膚への脱脂の強さ

などの性質が変わります。
この脂肪酸バランスも、石鹸の性質を考えるうえで大切な要素になります。

1. 犬の皮膚を考えるときの前提

犬の皮膚は、人よりも薄いと言われています。また、皮脂の構成や分泌量も異なります。
そのため、洗浄を考えるときには

・汚れは落とす
・過剰に脱脂しない

というバランスが大切になります。
石鹸の性質はこのバランスを脂肪酸によって調整することができます。

2. 石鹸の性質を決める主な脂肪酸

石鹸で重要になる脂肪酸はいくつかあります。

ラウリン酸・ミリスチン酸(主にココナッツ油など)

・泡立ちが良い
・洗浄力が強い

一方で、量が多いと脱脂が強くなりやすい特徴があります。

パルミチン酸・ステアリン酸

・石鹸を固くする
・泡を安定させる

石鹸の形を保つために役立つ脂肪酸です。

オレイン酸

・比較的やさしい洗浄
・泡はやや穏やか

オリーブ油などに多く含まれます。
犬用石鹸では、この脂肪酸を中心に設計されることも多くあります。


石鹸の性質は、これらの脂肪酸の種類だけで決まるわけではありません。
脂肪酸の組み合わせも大きく影響します。

たとえば、ラウリン酸は洗浄力が強い脂肪酸ですが、少量であれば泡立ちを補助する役割になります。オレイン酸は比較的穏やかな洗浄ですが、これだけでは泡立ちが弱くなることがあります。
そのため石鹸の設計では

・泡立ち
・洗浄力
・すすぎやすさ
・皮膚への脱脂の強さ

などのバランスを見ながら脂肪酸を組み合わせて処方が作られます。

3. 犬用石鹸でよく考えられる設計

犬用石鹸では一般的に

・強すぎる洗浄を避ける
・すすぎやすさを確保する

といった点が意識されます。そのため

  • ラウリン酸系を控えめにする
  • オレイン酸主体にする

などの設計が採られることがあります。ただし、これは一つの考え方にすぎません
犬の皮膚の状態や生活環境によって適した洗浄方法は変わります。

4. 石鹸は脱脂しないのか?

石鹸について調べると、
「石鹸は皮脂を取りすぎない」という説明を見かけることがあります。
確かに、石鹸はシンプルな洗浄剤であり、適切に使えばやさしい洗浄になる場合もあります。
しかし、石鹸だから必ず脱脂が弱いというわけではありません。
石鹸は、油脂に含まれる脂肪酸がアルカリと反応して脂肪酸ナトリウムに変わったものです。

つまり、オリーブ油やココナッツ油といった油も、
石鹸になると元の油とはまったく違う性質を持つ物質になります。
そのため洗浄の強さは

・脂肪酸の種類
・配合バランス
・使用量
・洗い方やすすぎ

などによって変わります。
たとえば、ラウリン酸やミリスチン酸の割合が多い石鹸は、泡立ちが良い一方で洗浄力も強くなりやすい性質があります。つまり、石鹸のやさしさは
「石鹸だから決まる」のではなく、設計によって変わるということです。

小多福堂では、犬の皮膚の特徴を考えながら
過剰な脱脂になりにくいバランスを意識して石鹸を設計しています。

5. スーパーファットという考え方

石鹸の設計では、脂肪酸のバランスだけでなく
スーパーファット(ディスカウント)という考え方も重要になります。

石鹸は、油脂とアルカリが反応してできるものですが、
すべての油脂を完全に石鹸に変える必要はありません。

あえて一部の油脂を石鹸に変えず、そのまま残す設計にすることがあります。
これをスーパーファットと呼びます。この未反応の油脂は

・洗い上がりの感触
・脱脂の強さ
・皮膚へのやさしさ

などに影響します。ただし、スーパーファットを増やせば必ずやさしくなるというわけではありません。

油脂の種類や配合、使用量などによって石鹸の性質は大きく変わります。
そのため石鹸の設計では、脂肪酸のバランスとスーパーファットの両方を見ながら
洗浄の強さを調整することもできます。

6. 石鹸がすべての犬に合うわけではない

石鹸はシンプルな洗浄剤ですが、
すべての犬に合うわけではありません。

乾燥が強い場合や皮膚トラブルがある場合には

・アミノ酸系
・ベタイン系
・グルコシド系

などのシャンプーの方が適している場合もあります。

大切なのは、石鹸かシャンプーかという「種類」ではなく

その犬の皮膚に合っているかどうかです。

まとめ

小多福堂では、石鹸を「万能なもの」とは考えていません。

石鹸は

・シンプルな洗浄剤
・設計次第で性質が変わるもの

です。

犬の皮膚の状態や生活に合わせて、無理のない方法を選ぶことが大切だと考えています。

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