犬用石けんを作るとき、
どんな油を使うかを決める瞬間には、いつも迷いがありました。
泡立ちをよくしたい。
香りを長く残したい。
でも、いちばん大事なのは「犬の皮膚に負担をかけないこと」。
小多福堂では、パーム油やパーム核油を使わない、
パームフリーの石けんづくりを続けています。
それは環境のためでもあり、
犬の皮膚を“守る力”を奪いたくないという想いからでもあります。
パーム油を使わない理由
パーム油は、とても便利な素材です。
石けんを硬くし、泡立ちも安定します。
けれど、その泡の力は少し強すぎると感じることがあります。
犬の皮膚は、人の3分の1ほどの薄さ。
そのやわらかい皮脂膜を保つことが、健康の第一歩です。
パーム由来の脂肪酸は、洗浄力が高く、
時にその膜まで一緒に落としてしまうことがあります。
「もっと泡立ってほしい」よりも、
「もう少しやさしくしたい」と思いました。
そのために、パーム油を使わないという選択をしました。
パームフリーの石けんができるまで
泡の豊かさや硬さは、他の植物油で補います。
オリーブ油はしっとりとしたうるおいを。
こめ油は穏やかで軽やかな洗い上がりを。
ひまわり油(ハイオレック)は安定した泡と保湿を。
そして少しのシアバターが、やわらかさを支えます。
それぞれの油に、性格があります。
だから、犬の皮膚や毛並みに合わせて、
その子の暮らしを思いながら配合を作るようにしています。
小さな選択が守るもの
パームを使わないことで、
遠い国の森や動物たちの未来にも、ほんの少しやさしくできる。
でも、いちばん守りたいのは、目の前にいる「うちの子」です。
洗うことは、触れること。
石けんは、手と毛のあいだで、
その子の“今日のからだ”を確かめるためのもの。
パームフリーという選択は、
派手ではないけれど、やさしさを手放さないための方法です。

  
  
  
  

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